第17回 福島ツアー 2017年12月3日(日)~8日(金)
「でんでらキャラバン in FUKUSHIMA」の企画は2012年から毎年1回、1週間ほど福島に滞在して、地元の方たちと交流しながら保育所や幼稚園、小学校、老人ホームなどに音楽を届けています。
訪問先については、福島出身の熊谷陽子が中心となって
地元の知り合いなどを通じてリサーチして決めています。
6度目となる今回は5日間で9ヵ所を訪問し、10回演奏しました。
でんでらキャラバンからは
おおたか静流(ヴォーカル)、京ヶ島弥生(食事作り・記録・アロマセラピー)、山田麻子(書・食事作り・物販・記録)、熊谷陽子(張紅陽/企画・アコーディオン)、松井亜由美(食事作り・バイオリン)の5名が参加。
「でんでらキャラバン in FUKUSHIMA」初参加の山田麻子さんには各会場の施設名の’書’を書いてもらい、終演後その’書’と一緒に皆さんと記念撮影をしました。
東京から参加のミュージシャン、梅津和時さん(サックス・クラリネット)、関島岳郎さん(チューバ・リコーダー・口琴)、多田葉子さん(サックス)の3名に加え、
福島市在住・安斎陽介さん(ベース)と佐藤コージさん(ディジュリドゥ)、石巻市からは相澤政洋さん(ゴロス・サックス)と安富朋子さん(チンドン太鼓)、
初参加の郡山市在住・穂高聖治さん(ドラムス)、国見町在住・竹田学さん(トロンボーン)の6名が演奏に参加してくださいました。
さらに今回も『おせなか音頭』では、福島市在住の花柳沙里樹さん(舞踊)が着付けや振付指導まで手伝ってくださりながらの賑やかな公演となりました。
また現地の移動やPA設営、記録映像撮影などについては、
斎藤力夫さん、元「なまず亭」(福島市内のライブハウス)店主・じょにさん、渡邉真紀湖さん、菊地一彦さんや福島テルサ・松本館長らに今回もご協力を頂きました。
いつも本当にありがとうございます。
以下、会場ごとのご報告です。≪≫内は所在地です。
12/4(月)

朝9時、さあ出発です!
★10:30 「聖・オリーブの郷」(老人ホーム) ≪福島市山口≫
ご入居者 約50名 スタッフ約20名のご参加
福島テルサの松本館長のご紹介で訪問。
おおたか、熊谷、松井のほか、安斎(Bass)、花柳(舞踊)、相澤(ゴロス,sax)、安富(ちんどん太鼓)に参加してもらって
懐メロ、童謡、クリスマスソングなどのプログラムをお送りし、
『おせなか音頭』や懐メロデュエットでは職員の方にもご協力いただきました。
最後にはお花とお礼の言葉の手紙までいただきました。

聖・オリーブの郷
終了後、福島・山形県境の栗子峠を越えて米沢に移動。
この11月に開通したばかりの東北中央自動車道のおかげで1時間あまりで行くことができましたが、現地で少し迷い、到着がぎりぎりになりました。
★13:30 「アクティ米沢」≪山形県米沢市≫
(主催:NPO法人 青空保育たけの子※ https://www.takenoko-aozora.org/ )
※「あおぞら保育たけの子」について
子どもたちが自然の中で豊かに遊ぶことが重要と考え、2009年に福島市内に設立。
震災・原発事故によって福島市内での野外保育が難しくなったため、
2011年10月から米沢市の財団法人農村文化研究所に保育拠点を提供してもらい、
福島市から米沢市へ毎日急な坂道の栗小峠を越えて通い、サテライト保育を実施。
様々な事情で福島市から避難できない幼児や、米沢市へ自主避難している福島市出身の幼児、
また米沢市周辺の幼児を対象に野外保育をしています。
福島市内から片道約50kmの道のりを現在はバンで毎日無料送迎しているそうです。
「冬場は雪の中、峠を車で越えるのはリスクがあるけれど、
福島市内の野外で遊ばせるリスクを考えたら、車で峠を越えるリスクの方を選びたい」
という保護者の声に答えての活動です。
ディジュリドゥの演奏で、でんでらキャラバンの活動に何度も参加している佐藤コージさんのお子さんが
毎日米沢に通っていると聞き、「青空保育たけの子」の活動を知って訪問することに。
子ども40名、大人も40名程度参加。一般の方も入場可でした。
「聖・オリーブの郷」のメンバーに
コージさん(ディジュリドゥ)と穂積さん(ドラムス)、竹田さん(トロンボーン)が加わり演奏。
広い体育館だったので、かなり寒い中での演奏になりましたが、
子供たちがのびのび遊んで楽しい会になりました。

アクティ米沢
「青空保育たけの子」の子ども達が毎日越える栗子峠をはじめとして
福島市が盆地で、どちらに向かうにせよ峠を越えねばならないことに因んで
『峠のみち』(作詞:おおたか静流、作曲:関島岳郎)という楽曲を
今回はテーマ曲のように毎回演奏することにしました。
曲のエンディングでは子ども達とミュージシャンが輪になって一緒にぐるぐる歩きながら演奏しました。
12/5(火)

今日から関島さんも参加、7時半の出発です!
★9:00 「飯舘村立 草野・飯樋幼稚園」≪福島市飯野町≫
園児26名、職員5名(うち男性2名)+保育実習で来ていた中学3年生14名
もう5回目の訪問です。
ここから関島さん(チューバ,リコーダー,口琴)が参加。
楽器紹介や『おせなか音頭』で盛り上がりました。
途中から参加してくれた保育実習の中学3年生は、
2014年に初めて飯舘村立草野・飯樋・臼石小学校を訪問した時に6年生だったので
覚えてくれていた子もいたかもしれません。
震災後、飯舘村に避難指示が出て大変だった時には小学校3年生だった彼らが
『峠のみち』で一緒に歩いてくれました。
飯舘村立草野・飯樋・臼石小学校の仮設校舎(川俣町)は
2018年3月までのため是非伺いたかったのですが
4月以降についての親子面談などでお忙しくて訪問が叶いませんでした。
ただ、校長先生が幼稚園の園長も兼任されているため見に来てくださり
「来年は来てください」と有難い約束を頂きました。
午後の訪問まで時間が空いたので、
元「なまず亭」店主のじょにさんが現在経営する「じょに庵」で休憩させて頂きました。
★15:30 「さくらんぼ保育園」≪福島市野田町≫
日本舞踊の花柳沙里樹先生が指導されている幼稚園。昨年に続いて2回目の訪問です。
『おせなか音頭』の子どもたちの指揮もとってくださり、この日ももちろん大盛り上がり。
お返しにと、素敵な演奏のプレゼントもいただきました。

さくらんぼ保育園
12/6(水)

今日も寒いけど良いお天気!梅津さん、多田さんも到着しました
★9:00 飯館村 子育て支援センター「すくすく」≪福島市大森≫
親子17組の参加。去年も観てくださった親子もちらほら。
飯舘から避難している子育て中のお母さんを支援する施設として3年前にステキな木造の建物がオープン。
以前病院の駐車場としていた土地が病院から寄贈され、建物は三井物産から寄付されたそうです。
この日から、梅津さん(サックス,クラリネット)と多田さん(サックス)が参加、
『おせなか音頭』や『峠のみち』で盛り上がりました!
手遊びや振付のある曲が多くて、おおたかさんにマイクスタンドが必要でしたが
なかったので渡邉さんにテルサまで借りに行ってもらいました。
届くまで、でんキャラメンバーの京ヶ島さんと山田さんにマイクを持ってもらったのですが
いつも後から見学していると分からなかった子ども達のいきいきとした表情が見られて役得だったとのこと。
最後は書家・山田麻子さんの書に、アーチストみんながサインをしてお渡ししました。
飯舘村の仮設小中学校、幼稚園、保育所は全て今年度いっぱいで閉鎖されるのですが、
「すくすく」は続けられるとのことです。


子育て支援センター「すくすく」
★13:00 浪江町立浪江小学校、浪江町立津島小学校、福島市立下川崎小学校(「下川崎小学校」≪福島市松川町≫にて)
浪江2名、津島2名、下川崎約70名、まつかわ東幼稚園18名+職員のみなさん
デザイナー・映像作家でずっと浪江の記録を撮っている赤間正昭さんのご紹介で、訪問することができました。
避難している浪江、津島の生徒は全校で5名なので、
日頃から世話になっている下川崎小学校の体育館を会場にして、幼稚園児も呼んで、
せっかく来てもらうのだからたくさんでプロの歌を聴こう、と準備してくれました。
浪江小学校は2018年度から浪江町内で再開しますが、
津島地区(DASH村で有名)は相変わらず帰還困難区域で帰れないという中で、
校長先生が「一人でも通う子がいる限り、仮設は継続する」とおっしゃり、来年度以降も存続するそうです。

下川崎小学校の体育館

『峠のみち』は皆で歩きながら・・・
12/7(木)
★10:30 「福島テルサ FTホール」≪福島市上町≫
市内7幼稚園の園児約300名をご招待、2階席には整理券で一般の方にもご来場頂きました。
(ルンビニー幼稚園60名 文化幼稚園35名 三育幼稚園65名 白百合幼稚園55名 西幼稚園20名 東幼稚園22名 もみじ幼稚園45名)
この日はミュージシャンも全員参加し
『おせなか音頭』では小学生も加わった「花柳沙里樹&ちびーず」も出演し、賑やかに演奏しました。
中でも『ウエスタン・ピカロ』というリズミックな曲では園児たちもノリノリで
ホール中のみんなの頭がぴょんぴょん跳ねる様子は圧巻でした。
終演後は昨年同様、幼稚園ごとに記念写真を撮りました。

福島テルサ FTホール
★13:30 「福島テルサ FTホール」≪福島市上町≫
身体障がい、知的障がいの方、職員をご招待。
障がい者施設からお誘いを頂き、是非伺いたいと調整したのですが、
PAを入れて演奏する会場の都合がつかなかったため、福島テルサの松本館長にご相談し、
急遽、テルサで午後開催させて頂くことになりました。
一般の方も整理券無しで入って頂きましたが
残念ながら告知期間が短かったこともあって来場者は少なめでした。
ただ、聴覚過敏でホールに入ることができなかった子どもが
ホール・エントランスのモニターで最終的にはヘッドホンを外して聴いてくれるなど
ご来場頂いた方には楽しんで頂けたようです。
12/8(金)
★9:00 「いいたて福祉会やまゆり保育所」≪伊達郡川俣町飯坂≫
子ども達とお母さま方、職員さんたち、合わせて16名
今回3回目の訪問です。
すこし早く到着したので、中井田所長さんとお話することができました。
現在の川俣町での運営は2018年3月までで
4月からは幼稚園と合併して、飯舘村で認定保育園になるそうです。
★10:30 「いいたてホーム」(老人ホーム) ≪相馬郡飯舘村≫
入居者と職員、42名が参加。最高齢者は101歳。
4回目の訪問なので顔なじみになった職員の方たちも楽しみにしていてくださっていたようです。
入居者が良くご存じの昭和歌謡を多く演奏。
『いつでも夢を』は施設長の三瓶さんが静流さんとデュエットで熱唱してくださました。
「いいたてホーム」は震災後も飯舘村に残り、
職員の方たちは避難先から長距離を通って運営されてきましたが
未だ帰還困難区域の長泥地区を除いて
2017年3月31日に避難指示が解除されたため帰村が始まり(2017年12月時点で約500名)、
三瓶さんや職員さんも何人か飯舘村に戻られたとのこと。
これまでは、ただただ亡くなる方をお見送りするという状況で入居者は減る一方でしたが
施設が素晴らしいので、新しい入居者もいらっしゃるようです。
また最近、子ども達が訪問してくれたと、壁の写真を見せてくださいました、
「ここの皆さんは6年間、子供に会わなかったんですよ」という話を聞き、言葉が出ませんでした。

いいたてホーム
でんでらキャラバンは
菅野村長の下、「いいたてまでいの会」にお世話になり訪問させて頂いてますが、
村を素晴らしい場所に戻して帰りたい人を増やしたい、という思いのもと、
立派な文化会館や新しい学校校舎を建て、道の駅を作って、と活気がある反面、
帰村を促すことに反対の意見も沢山あります。
帰らないと決めた村民もたくさんいらっしゃいます。
怒りは飯舘村の人々の中でぶつけ合うことではなく、
日本中、世界中の問題として、みんなが考えなければならないということを強く感じました。
長くなりましたが、今回の活動報告は以上です。
最後まで読んでくださってありがとうございました。